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トップの情報収集に応える

2016年7月15日

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ELNEOS 「ほまれもなく そしりもなく」 田部康喜 広報マンの攻防戦

 プロ野球の福岡ソフトバンク・ホークスの快進撃が止まらない。本稿を執筆時点(六月十四日)のセパ交流戦のトップに立って、パリーグの戦績でも二位以下を大きく引き離している。

 ジャーナストの友人は、「あまりにも強すぎて面白くない」という。筆者の反論は、「戦後のプロ野球人気が沸騰したのは、巨人のV9時代だった。強いチームに相手が挑む時にファンが沸く」というものだ。

 ホークスの球史は、流通最大手だったダイエーが南海を買収したことにさかのぼる。ソフトバンクがダイエーから正式に譲渡を受けたのは、二〇〇四年十一月のことである。

 ここに至る裏面史を記すことは、プロ野球史の正伝には伝えられない外伝を残すことになるのではないかと考える。

 ソフトバンク・ホークス誕生の二年前のことである。オリックスの本拠地のネーミングライツを購入したトップが、宮内義彦オーナーの正体を受けて野球観戦をした。球場を埋め尽くしたファンの熱狂に触れたトップは、岐路にこう切り出した。

「プロ野球球団で買収できるところはないか」と。

 球界に詳しい友人やジャーナリストから、私はさっそく情報の収集にあたった。その結果は、のちに公になり、野球ファンや選手たちの反発を呼ぶ「一リーグ構想」だった。セパ十二球団のうち、ロッテとダイエー、オリックスと近鉄を合併して計十球団として、ふたつのリーグを統合するというものだった。

 こうした事情に詳しかった友人は、「本体の経営が悪化しているダイエーが球団を手放す可能性が最も高い」と断言した。

 球団買収の焦点は、ダイエー・ホークスに絞られた。譲渡の一年前、ダイエーが球団を売却するために、候補の企業に価格を打診して、入札(ビット)をした、との情報もあった。

交渉は機密性高く、確証にはいささか躊躇するが、大手飲料メーカーと広告代理店が争ったと聞いた。ただし、この時は最終的にダイエーが売却を止めることとなったという。

 経営が悪化したダイエーが、債権放棄と債権買い取りのために、政府の整理回収機構に救済を要請するのではないか、という観測報道がなされたのは二〇〇四年初秋のことである。

 休日に携帯電話が鳴って、トップに呼び出さると、いまは亡き側近の取締役とふたりで待っていた。トップは次のように命じるのだった。

「ダイエーが整理回収機構に再建を要請する前に球団の買収に名乗りを上げよう」と。企業買収には、意思の表明が第一である、という定石だった。

 この二日後にダイエー・ホークスの本拠地である福岡市と東京で、トップによる記者会見を開くことを決めた。広報部門をふたつに分けて、ひとつを福岡に先乗りさせた。

 広報部門は、社外に広範なネットワークを築ける、筆頭である。

 トップの情報収集の要望に応えるために助けてくれたのは、記者時代ではなく広報パーソンになってからの友人たちだった。

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