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メディア論

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 広告収入のレベニュー・シェアが高率

雑誌の定額まとめ読み、キューレーション・サービスに打撃

 Daily Daimond寄稿。週刊ダイヤモンドの購読者向けのサイトです。

 アップルが今秋に公開する次世代のOSに合わせて、新たなニュースの閲覧アプリケーション「News」がまず、米国と英国、豪州でサービスがスタートする。いずれ日本にも上陸するのは間違いない。

 

 iPhoneとiPadの利用者に対して、その人の指向に合わせたニュースを、速報ばかりではなく、深く掘り下げた報道も提供する。

 ニュースの素材となる新聞社や出版社に対しては、広く門戸を開放する。これらの参加メディアは、アプリケーションの公開と同時に販売される編集ソフトを購入して、視覚的に見やすくかつ美しい統一したスタイルで、配信する。

 「News」に対する欧米のメディアやその研究者らの評価を、概括するならば、まず衰退が叫ばれて久しい活字メディアにとって、ネットの世界で収益をあげる大きな手段となるのではないか、というものである。

  メディアが配信した記事につく広告について、そのメディアが単独で広告を募集した場合には100%が、アップルがメディアに代わって広告を募集した場合には、メディアに70%が支払われる。

  このアプリケーションに対する、ふたつめの反応は、課金システムによっていわゆる「ペイウォール」を構築して独自のアプリケーションを公開している、メディアには影響が及ばない、というものである。典型的な例としては、ウォールストリートジャーナルが上げられる。

 これに対しては、有料を原則としながらも、コンテンツの一部を無料で公開しているメディアにとっては役立つ、という議論がある。例として上げるならば、ニューヨークタイムズであり、同紙はすでに「News」への記事の提供を決めている。

  わたしが注目しているのが、このアプリケーションに対する編集ソフトによって、統一したスタイルの記事が生成できるので、メディアの大小や、発信者が企業でも個人でも受け入れるという点である。おそらくこのソフトは、iPhoneやiPadで動くものと予想される。ビデオの編集ソフトと同様だと考える。

  全体として、メディアの側からみると、このアプリケーションはニュースの流通革命を引き起こす可能性が高いのではないかと思う。

 ニュースを個人に選択、配信するに当たって、アップルはアルゴリズムすなわち人工知能による抽出のみならず、編集者がたずさわることを明らかにしている。

 「News」の衝撃は、メディア以外の領域に広がっていくのは間違い。それは、まず、アルゴリズムを主体とする、ニュース・キューレーション・サービスである。次に、携帯電話会社を行われている、月額の雑誌読み放題サービスである。

  順序が逆になるが、後者はわたしにとって思い入れのあるサービスである。ソフトバンクに在籍中に、新聞と雑誌、テレビニュースをまとめた「ビューン」を企画から会社の立ち上げ、サービスの開始まで手掛けた。この種のサービスでは、先駆けとなった。

 iPadの発売に向けて、売り込むサービスがなかった時に、キラーコンテンツとなった、というのは手前味噌ではあるが。メディアの収益をあげて、ジャーナリズムを支えとしたいというのが、開発者のわたしのひそかな志であった。

  ライバルは雑誌数でこのサービスの会員数を追い抜き、ソフトバンクも6月から1000冊の読み放題サービスを始める。

  課金型アプリケーションとして公開される。この収益の少ないとはいえない部分が、アップルに支払われる。

  つまり、まとめ読みサービスは、メディアとアップルの中間に存在しているにすぎないから、アップルが新しい「News」サービスを繰り出してくると、いらない存在となる。

  ニュース・キューレーション・サービスについては最近、株式を公開した「グノシー」と公開を目指している「スマート・ニュース」があげられるだろう。

 わたしも利用者ではあるが、ふたつのアルゴリズムが提供しているニュースについて、わたしの指向とはいささか異なることがある。

「News」の日本語版が出現すれば、こうしたキューレーション・サービスは新たな工夫をしなければ生き残れないだろう。

 「News」の日本語版はどのようにしてできるのだろうか。参加メディアを独自に開拓して、かつ広告事業も立ち上げるのだろうか。日本企業との提携はあるのか。しばらく目が離せない。                         

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朝日のキューレーションサービス「eeny」と日経「ビジネスリーダー」

何が受けるコンテンツの挑戦は続く

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ネット広告が動画に比重を移すなかで、新聞社はいかにコンテンツに動画を取り込むのか。ニュースを閲覧する「窓(window)」であるスマートフォンなどの通信速度は増すばかり。映像配信のインフラの進化に対応しようと、新聞社の挑戦は続いている。

  朝日新聞社は11日から、ネットの動画や生放送を見る、キューレーションサービス「eeny(イーニー)」https://eeny.jp/

を始めた。ニコニコ動画や生放送、You Tube、Ustreamなどを横断的に、独自のアルゴリズム(計算・処理手順)によって提供する。

  それぞれのサービスを提供している企業と提携した。サービスは無料である。リアルタイムの動画・生放送と、話題になっている「HOTワード」、さらに「おすすめ」の分類で、サムネール(小さな画像データ)が並んでいる。

  世界的に新聞社はすでに、ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)のツイッターやフェイスブックなどによって読者の取り込みを図っている。大震災や津波、台風などの災害時に、ツイッターによってつぶやかれている被災状況や写真が報道に役立てられている。

  朝日の新しい動画のキューレーションサービスもまた、いずれテキストのニュースとの組み合わせが考えられる。ニコニコ生放送が中継している国会中継や政治家の記者会見などは、すぐにでも応用できそうである。

  当初のサービスからは導入されていないが、「番組表」のサービスの開始も予定されている。ニコニコ生放送やUstream の中継は予告されるケースが多いから、さまざまなネット動画の番組表という発想は面白い。

 そもそもオールドメディアである、朝日がネットの動画のキューレーションサービスの提携に動いたことは、メディア業界は驚きををもって迎えられている。

 わき道にそれるが、来春の大卒の新人募集をみると、同社は「アプリの開発」の技能職も求めている。時代の趨勢を感じさせる。

 日経新聞は今春のデジタル版のリニューアルで、「トップ」と「速報」に続いて、「ビジネスリーダー」のアイコンを位置付けた。「ビジネスリーダー」は、日経の本紙のみならず日経BPの雑誌の記事を、キューレーションするものである。

 このコーナーには、編集長をおいている。ニュースの現場にいって動画による解説をしているのが、新しい試みである。就任したばかりの小板橋太郎編集長は、14日に開かれたシャープの2015年3月期決算の発表会場から、その内容と再建のために同社の中期計画は不十分であることをリポートしている。

日経CNBCによる決算報告の映像や、要点を示す数値などを映像化しながら伝えている。

 日経は13日、データベースや金融情報を配信している子会社の日本経済新聞デジタルメディアを7月1日付で、本体に統合すると発表した。

 一方、日経本紙と日経BPのそれぞれのネット読者のIDについて、統合を進めている。

 デジタル戦略において、長期的な視点に立って立案がなされているといえるだろう。

 共同通信の子会社である共同通信デジタルと、ヤフーが合弁で4月1日に設立した、ノアドット社も注目される。

 現在のところ、制作するコンテンツの内容は明らかではない。サービスのスタートは今秋が予定されている。

共同通信はいうまでのなく、全国各地の新聞と放送局を会員に持ち、配信先の新聞の部数を単純に合計すると2000万部を超えて、日本で最も影響力があるメディアである。

 ヤフーとの合弁会社は当面、テキストのニュースが中心となると推測されるが、その先に映像配信があるのは、メディアの流れではないだろうか。

 新聞社のテキストと映像の融合が進んでいくと、新聞と雑誌、ネットメディアの垣根がなくなって、総合ニュースとかあるは経済専門ニュース、地域ニュースといた、ジャンル別によるメディアの分類がわかりやすい時代になるかもしれない。

 ネット広告の世界では、すでに新聞社のサイトや雑誌社のサイト、ネットメディアのサイト向けなど、と区分けするよりも、広告が動画であるかあるいは、広告主が自ら中心となって制作する「ネイティブ広告」なのか、といった機能のよる分類になってきた。

 昨年初めて年間の売上高が1兆円を超えて、この趨勢が続くと仮定すると、2兆円だったテレビを追い抜くのは、2020年である。

 

新聞社の動画をいかに取り組むかは、ネット広告をいかに取り組むかという課題でもある。

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「クローズアップ現代」「報道ステーション」問題

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 NHKの看板番組である「クローズアップ現代」による、多重債務者を出家させて名前を変えて新たな借り入れが可能とする出家詐欺報道と、テレビ朝日の「報道ステーション」において元官僚の古賀茂明氏の発言をめぐる問題は、関係者の処分によって4月末に幕が下りた。

  NHKが外部委員を含めた調査委員会の報告書をまとめたのに合わせて、「クローズアップ現代」は4月28日に、問題となっている昨年5月14日放送の「追跡“出家詐欺”~狙われる宗教法人~」の映像を引用する形で、やらせではないかという指摘に対して応えた。

  出家詐欺のブローカーとしたA氏について、放送されなかった部分の証言を含めて、ブローカーでなければ知りえない事実が含まれていた、としている。その一方で実際にA氏によって出家した人物の特定はできていなかった。

 そもそも、A氏の存在は、記者が情報源としていた多重債務者のB氏からもたらされた。放送では、まずA氏の存在が明らかになって、B氏が相談に訪れるシーンとなっている。つまり、調査報告書によると、やらせはなく、番組制作上の作為が問題である、としているのである。

  再発防止策の柱のひとつが、チェック体制の強化である。番組の事前の「試写」について、「取材・制作について関わってきた担当者とは別に、局内の豊富な経験と専門的な知識を持つものがチェックしていれば、大幅な手直しが行われた可能性もある」と、調査報告書は今後の方向性を提言している。

  テレビ朝日もまた、古賀氏のコメントに端を発した今回の問題ついて、「コメンテーター室」を設置して、制作部門とコメンテーターとの事前のすり合わせを密にする、としている。

  再発防止のために、両報道機関が打ち出したのはチェック機能という、管理体制の強化である。このことは、取材の現場に立つ記者や制作者に対する不信が前提になっていると思う。

  社会の病巣に切り込む組織内ジャーナリストは、猟犬のように題材を追う孤独なハンターである。特ダネは、ひとりあるいは極めて少人数による取材によって、気づくことが発端になる。グループによるその裏付けは最終局面である。問題を切り拓く孤独なハンターに対する、上層部の信頼がなければ、ことは成し遂げられない。

 取材と制作力を強めるためには、こうしたジャーナリストを守る仕組みこそ必要なのに、今回の騒動とその着地点は、報道機関が問題に直面するたびに繰り返す行動であって、既視感は否めない。

 報道機関の管理部門の階段を上っていく人々と、ハンターであるジャーナリストとは相いれない側面がある。相互の信頼感が失われたとき、かえってその隙間に取材現場の思惑が忍び込んで、問題が生じるように思う。

 日本の報道機関には、社内ジャーナリストが安心して取材するための、国ばかりではなく大企業もふくまれるが、権力に対する防御体制がぜい弱である。

 あまり知られていないが、記者が当事者から訴訟を提起された場合に、所属する報道機関から訴訟費用などの支援を受けられない。記者が不法行為によって、その報道機関を窮地に追い込んだ可能性もあるからである。

  ニクソン大統領の「ウォーターゲート事件」や、イラク戦争当時のブッシュ大統領による海外基地でのイスラム教徒に対する拷問事件において、それらをスクープしたニューヨークタイムズの体制こそ学ぶべきである。

 権力に付け込まれないために、顧問弁護士が原稿の問題点がないことを確認し、編集局長は大統領府に対して執拗に抵抗する。そのには、現場の記者を守ることによって、言論機関としての存在を揺るがせにしない、という強い意思がある。

  テレビ朝日社長の吉田慎一氏は、朝日新聞時代に日本の報道機関のスクープや優れた報道に対して与えられる、新聞協会長賞を2度受賞したジャーナリストでもある。こうした記者・編集者が報道機関のトップに就くのは珍しい。

 「報道ステーション」問題の処分を発表した、4月30日の記者会見の発言は、現場の孤独なジャーナリストを知る人のものではなかった、と思う。

「生放送中に起こりうる様々な不測の事態について、そのリスクをなるべく小さくし、発生を未然に防ぎ、万が一発生した場合には、速やかに対応できるよう、番組責任者に対して改めて徹底することとした」と述べた。

  どんな企業やどんな組織でも、上下の信頼関係なくして、よい業績は上げられないのは、報道機関も同様である。  

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蘇るニールセン撤退の過去 広告のビジネスモデルは変わるか

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 世界最大の調査会社であるニールセンが4月初めに、日本の調査会社であるインテージと、複数のメディアにまたがる広告が消費者の購買行動にどの程度効果をあげるかを、個人ベースでも専門的に調査する合弁会社を立ち上げた。

  スマートフォンの急速な普及などを背景として、テレビやラジオ、新聞、雑誌にとどまらず、ソーシャル・ネットワーク・サービスを通じた広告をいかに組み合わせるのが効果的かを企業などに提案する。

  日本の広告のビジネスモデルは、電通の中興の祖である吉田秀雄が民間のラジオ、テレビ放送の普及に力を注ぐと同時に、テレビ視聴率を中心としたビデオリサーチによる広告効果を数値化したことにある。

  ビデオリサーチが電通と民放20社の共同出資で設立されたのは、1962年9月。それに先立ってニールセンは1961年から日本のテレビ視聴率を測定していた。ニールセンが日本のテレビの視聴率調査の分野で、撤退したきっかけは、ビデオリサーチと同様の「世帯視聴率」から「個人視聴率」の調査を始めたことだった。

 テレビの広告効果を個人ベースで検証できるシステムだったが、民放の契約をとれず、2003年3月に日本での調査をやめた。

  ビデオリサーチの「世帯視聴率」と広告の時間を掛け合わせた料金体系によって、電通と民放各社は収益をあげるビジネスモデルを確立したといえる。視聴率をもとにした広告費の投入量は、ここで一応の納得性を企業に植え付けることに成功したのである。

 今回のニールセンの日本市場における再挑戦は、インターネット広告の時代を迎えた戦略であると同時に、過去のリベンジともいえるだろう。

  新しいクロスメディア型かつ個人ベースの広告の効果測定をする、合弁会社はインテージ・ニールセン・デジタルメトリクス(INDIGIM・インディジム)。

 新会社が目指しているのは、広告が具体的な購買行動に結びつくにはどうするか、を考察するうえで必要なデータを企業などに提供することである。このことによって、企業の広告戦略やマーケティング戦略の修正につながる。

  同社は7月にもオンライン視聴率のサービスを開始する。さらに10月には、ある企業の広告戦略を立てるうえで、競合他社の広告効果も含めた、新しい指標のサービスも始める。

  インテージは、日本で2万2000人のメディアに対する、接触状況と購買行動に関する計測を行っている。ニールセンはすでに米国において、インターネットの広告視聴率をビジネスとして位置付けている。両社の融合によって、クロスメディアの広告効果を算出しようとしている。

  電通の日本の広告費・2014年版によると、インターネット広告が初めて1兆円の大台を超えた。総広告費は6兆円である。

 テレビは1兆9500億円、新聞は6000億円、雑誌は2500億円、ラジオは1200億円である。

  インターネット広告の増大と、クロスメディアの広告効果について、電通も傍観しているわけではないのは当然である。

 電通もやはりインテージと組んで、個人の消費行動を分析したデータベースづくりに、昨秋から乗り出している。メディアの統合型のマーケティングができるようになる、とうたっている。

  テレビ・ラジオの広告の成功モデルによって、一時は世界最大の売上高を誇った電通がインターネット時代のクロスメディア市場でヘゲモニーを握れるか、はまた別のテーマである。

  ニールセンとインテージの戦略は、電通モデルのど真ん中にはあえて踏み込まずに、米国型の個人の購買行動分析に乗り出す形をとったともいえる。

  ビデオリサーチによって、日本の視聴率を牛耳った過去と比べると、限られた民放だけではなく、インターネットの世界は登場するメディアの数が限りなく多くなるので、電通がその全体を握れるかどうか。それはニールセンのリベンジの結果にかかっている。

 

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インターネット放送で若年層を開拓

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「JOAK、JOAK、こちらは東京放送局であります……」

 関東大震災から1年半後の1925年(大正14年)3月22日、東京・芝浦のスタジオから日本のラジオの第一声が流れた。続いて、海軍軍楽隊のクラリネットとホルンの独奏が流れ、開局式となった。社団法人東京放送局の総裁である後藤新平が放送開始の意義について、15分にも及ぶ挨拶をした。

 この時から、放送90周年を迎えた今年、当時ラジオに期待された、防災放送という出発時点は、東日本大震災によって改めて認識されている。

  ラジオは絶滅貴種か?広告費がピーク時から半減し、地方局を中心として経営が悪化しているなかで、これまでも幾度も唱えられた。若者たちの心をとらえた1980年代から90年代の隆盛を夢見て、ラジオ業界はインターネットを通じた配信など、生き残りをかけた挑戦にかけている。

  ラジオ業界はいま、戦後のAMの新規開局ブームの設備投資とくに電波施設が更新時期を迎えて、その資金をどうするのか、経営の大きな課題となっている。ラジオの広告費は1991年の2406億円がピークで、2014年は約半分の1272億円である。FM局の年間売上高は約70億円、AM局は48億円である。

 大都市圏では、AM局の設備更新に土地の手当てと設備を合わせて、50億~100億円と推定されている。広告収入の減少はこうした費用をねん出するのが難しい。

  ラジオの復活のためには、聴取者の若者層の開拓にあることは、業界の共通認識である。メディアの接触時間(1日15分以上、2010年)をみると、全体ではラジオは13%の人が聴いている。しかし、16歳~19歳についてみると、ゼロとなる。95年には13%、00年には8%、05年には6%と急減したうえに、統計上は若者にまったく聴かれていない。

  首都圏のAM局である、TBSラジオと文化放送、ニッポン放送は3月末に、AMの番組をFMでも並行して放送(サイマル放送)する、と発表した。総務省がAMのFMによる補完放送と名付ける放送携帯である。3社のFM用のアンテナは共用で、東京スカイツリーに設置する。ニックネームも3社共通で「ワイドFM」とした。放送は今夏から今秋を予定している。

  そもそもFM補完放送は、AMの電波が高層ビルなどの電波障害や、海外のAM放送との混信を避けために考えられた方式である。設備投資がAMの更新費用よりも経営負担がないことと、音声がよいことなどから、ラジオの経営全般のテコ入れ策として活用されようとしている。

 インターネットに向けた配信も、若者層の開拓に役立つと期待されている。電通が主体となって、ラジオ各局と協力して立ち上げた、radiko(ラジコ)サービスは、スマートフォンインに専用のアプリを落とせば、地域のラジオは無料で、全国のラジオも有料で聴くことができる。

 有料サービスは昨年4月からで、1年間で約17万人が登録している。月間に1万人ずつ増加している。

 若者たちのなかには、ラジオのチューニングの仕方を知らない人も多いという。スマートフォンによって、初めてラジオに親しむ人も出てきているという。

  NHKもインターネットのアプリ「らじるらじる」をダウンロードできるようにしている。ラジオ第2の英語講座など、過去の番組も聴けるようになっている。

  「radiko」や「らじるらじる」によって、スマートフォンでラジオを聴いていると、受験勉強をしながら、ディスクジョッキーの曲の紹介などを聴いていた青春時代を思い出して懐かしい。

 WiFiの無料サービスが、2020年東京五輪に向けて今後さらに普及していけば、ラジオの視聴が上向く可能性がある。

  ラジオ広告は、この5年ほど漸減傾向をたどっていたが、2013年の1243億円から2014年の1272億円に微増している。インターネットによる若者層の掘り起こしが貢献している可能性がある、と広告業界はみる。

  さらに、ラジオ放送がインターネットを通じて、高音質のハイレゾ配信をてがけることも検討されている。

  90周年を迎えたラジオという古いメディアが、再び新しいメディアになる可能性がある。

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