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人工知能の時代

2018年9月2日

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政治経済情報誌・ELNEOS 9月号寄稿 ほまれもなく そしりもなく 「田部康喜」広報マンの攻防」

 企業の広報部門は経営層に対する最新の経済、産業情報の伝達者である。広報部門の朝は、各種の新聞、雑誌、インターネットメディアの「クリッピング」から始まる。

 さて、次の記事をクリッピングすべき業種の企業はどこだろうか。答えはすべの業種の企業といってよいだろう。

 【AFP=時事】小さなロボットのウエーターがくるくる移動しながらテーブルまで料理を運ぶ。ガラスのふたを開けると上海風ザリガニ料理から湯気が立ち上り、ロボットが低い機械的な声で「ごゆっくりお楽しみください」と告げる。この未来的なレストランは、中国の電子商取引大手アリババが手掛ける「Rоbоt・He」だ。中国では商取引におけるロボットと人工知能(AI)の活用が広がっており、同社もサービスと小売りの近代化を推進している。

 クリッピングが経営を動かした例をあげよう。森喜朗内閣のIT戦略本部がNTTが独占している光通信網を他の企業に開放する方針を示したあまり目立たない記事だった。

 ソフトバンクグループ代表の孫正義氏は、政府の通信自由化の意図を読み取り、政策当局である総務省との折衝に入った。同グループが通信会社として地歩を築く第一歩である。

 広報部門に求められるのは、経済、産業情報の選択眼である。時代の潮流をつかむ日々の情報収集である。

 時代のキーワードはいま、シンギュラリティ―(技術的特異点)である。

 「AIが神になる日 シンギュラリティ―が人類を救う」(SBクリエイティブ、二〇一七年)の筆者である松本徹三氏は、「特異点に至った技術」と宇訳したほうがいいとする。AI技術こそ、その頂点に立つものであり、流行している技術は「バズワード(デジタル用語で、もっともらしい説明がつけられて人の気を引くもの)」と断じる。

 「たとえば、IоTですが……これに必要な技術もたいしたものではありません。要するに、『いかに小さく、安価で、電力を食わない無線通信用の・チップ』を組み合わせるかというだけのことだからです」

 これに対してAIは「人間の社会を、場合によってはその存在の意義そのものさえも、本質的に変えてしまうインパクトを持つ」とする。

 そのうえで、松本氏はAIがシンギュラリティ―に到達する過程を描いている。第一の時代は今後一〇年から二〇年の可段階で、「AIの可能性を念頭において仕事を組み立てていくと、特に新しいサービス産業の分野では可能背が次々に広がっていくでしょう」。とくに、「翻訳システム」とプロが作り込んだ電子教材などの「教育システム」が有望である、と説く。

 第二の時代は、先の時代と重なり合いながら進展する。「医師や弁護士、教師やビジネスマン、官僚や政治家が、AIとペアで仕事をするのが常識となり……その一方で、いくつかの職種では雇用は大幅に針、なかには完全に消滅してしまう職種も出てくるでしょう」。AIがシンギュラリティ―に到達すると、政治、社会、経済の人間の主体的な判断にAIが関与する。

 AIの時代を恐れることはない、と松本氏は述べる。「この世界になにが起ころうとも、あなたはいつでもこの世界の中心であり、自由に考え、自由に感じることができる」と。

 

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