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ユビキタス監視社会 ➀

2017年7月3日

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政治経済情報誌・ELNEOS 7月号寄稿 ほまれもなく そしりもなく 「田部康喜」広報マンの攻防」

 インターネットの普及によって、あらゆるものがコンピューターにつながり、その空間のなかで自由な議論が進み、新たな産業が生まれていく――「ユビキタス」社会と呼ばれる理想の社会が実現する夢が語られた。

 しかし、あらゆる情報を収集しようとする国家と技術の進化は、この世界を監視社会に変えてしまった。

インターネットによって、プライバシーが侵害される時代に我々は生きている。企業もその例外ではない。広報パーソンは「ユビキタス監視社会」に関心を払うべきである。

 米国家安全保障局(NSA)による大規模な個人情報の収集を告発した、米中央情報局(CIA)の元職員であるエドワード・スノーデン氏が四年前に暴露した事実は、世界を揺るがした。NSAの膨大なファイルは「スノーデンファイル」と呼ばれる。

 スノーデン氏は自らそのファイル

がプライバシーを侵害している事実を分析して明らかにはしない。それはメディアの調査報道の仕事である、と明確に述べている。

「スノーデンファイル」について、英国のザ・ガーディアンと協力して数々のスクープを放った、ジャーナリストのグレン・グリーウッド氏は、このファイルがスノーデン氏によって、的確に分類され、しかも文書を読み解くために専門用語の辞書までもが作成されている事実を明らかにしている。(『暴露』グレン・グリーンウッド著、田口俊樹氏ら訳)

「スノーデンファイル」のうち日本に関係する一三のファイルが四月下旬に明らかになった。このファイルの報道にかかわってきた、米国のNPО「インターセプト」と、NHKの協力による。その主要な点については「クローズアップ現代+」が報じた。NHKは今後もこのファイルの分析を続ける、としている。

 今回の報道の最大の焦点は、米国が大量監視プログラム「XKEYSCОRE(エック・キー・スコア)」を日本政府に提供していた事実である。このプログラムは「スパイのグーグル」と呼ばれる。

 NSAはすべての情報を収集する。個人の通話、メール履歴、SNS……発信者と受信者を記録する「メタデータ」として保存される。

「XKEYSCОRE」プログラムに特定個人の名前やメールアドレスを入力すると、その人に関するすべての情報が閲覧できる。

 NHKのインタビューに対して、スノーデン氏と同様にNSAを告発した、元技術部門のトップであるウィリアム・ビニー氏は、このプログラムを「民主主義を破壊しかねないウィルス」と断じる。

 NSAに対する日本側の対応先である、防衛省はこのプログラムが日本に提供されたかどうかついて、回答を避けている。

 犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の構成要件を改めて、「テロ等準備罪」とする改正組織犯罪処罰法が六月一五日、徹夜国会の末に成立した。国会審議のなかで、政府は「共謀罪」は将来的に通信傍受の対象となる可能性も示唆している。

「XKEYSCОRE」プログラムと「共謀罪」を結ぶ線はあるのだろうか。

         (この項続く)

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