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「次に来る時代」を読む②

2017年3月8日

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政治経済情報誌・ELNEOS 3月号寄稿 ほまれもなくvそしりもなく 「田部康喜」広報マンの攻防

「次に来る時代」を読む②

 企業や組織の広報部門は、経営情報を収集する先端に位置する。

 新聞や雑誌などのニュースのクリッピングまず、広報部門の大きな役割である。それは役員や幹部社員らの経営層の元に届けられる。

 諜報機関の「インテリジェンス」の情報源は、八割が公開されているものであり、残りが人的な接触による「ヒューミリエント」である、といわれる。

 経営層が多岐にわたるメディアを総覧することは困難である。定期購読の新聞や雑誌には限りがある。広報部門が経営層に代わって、情報を収集することになる。

 情報を選択する視点はどこに置くべきなのだろうか。この項目では、次の時代に来るものを読む機軸を設定することが大事ではないかと説いてきた。

 最新刊の『<インターネット>の次に来るもの』(ケヴィン・ケリー著、服部桂訳・NHK出版刊)が、それに役立つ必読の書ではないか。

「近未来の私の一日は、いつもこんな感じで始まる❘❘台所にトースターより小さな錠剤製造マシンがある。……パーソナライズされた錠剤を一つ(あるいは二つ)作ってくれるのでそれを飲む。日中は私のウェアラブル・センサーでトラックキングされることで薬の効果が一時間ごとに計測され、クラウドに送られて分析される」

「私の個人のアバターがオンラインにいて、どの小売店にもアクセスする。それは私の体のすべての個所の完全な計測データを持っている。……私のプロフィールは、まるでアバターのようにユバーサル・ユーで管理されている。……朝起きると、私の最新のストリーミングの中から私が朝に最も知りたいニュースをフィルタリングして届けてくれる」

「IоT(Internet of Things)」つまりインターネットがあらゆるモノの端末につながる未来を描きながら、さらに我々の生活がどのような方向にあるのかを論じている。ビジネス書としてベストセラーになっているのもうなずける。

 新しい時代の端緒は、著者のケヴィン・ケリーが指摘しているように、一九八〇年代のデジタル情報革命である。

日本の企業のなかでも、富士フィルムのように、デジタル化が進んだ先にそれまでのフィルム需要が激減することを読んで多角化に成功した企業もある。デジタル化のスピードが想定よりも急速だったことは、首脳によって繰り返し語られている。

デジタル化が気泡に終わった歴史が語られることがある。アップルのiPhoneと同様の商品を三洋電機が試作していたり、ソニーは実際に音楽の配信事業を始めたりしたが、それはiTunesのようなオープンなプラットフォームではなかったために失敗に帰した。

メディアが伝える公開情報から、企業の次の戦略に役立つ情報を選択する、広報部門の責任は重大である。業界や自社に関する情報のみに限定してはならないだろう。また、メディアが大きく取り上げている話題が必ずしも将来の経営に役立つわけでもない。繰り返しになるが、情報を選択する機軸が必要なのである。

(この項了)

 

 

 

 

 

 

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