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「株式会社東京」の開発至上主義

2017年1月1日

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フジサンケイビジネスアイ 寄稿

築地移転延期と新国立問題の深層

 東京湾横断する新交通ゆりかもめの市場前駅に近づくと、巨大な建物が車窓を覆う。「11月7日 豊洲市場 開場!」の白い横断幕が台風一過の青空に浮かび上がる。駅の改札口を出ると、新市場に新橋からつながる環状2号線をまたぐ陸橋の工事現場が見えた。

 復路は、汐留駅で乗り換えて大江戸線で地下に潜る。沿線は勝どき橋東地区をはじめ、再開発計画が目白押しだ。国立競技場前駅で下車してみれば、白いフェンスに囲われたなかで、新国立競技場も建設が進んでいる。東京都の小池百合子知事はこの日、8月31日に築地市場から豊洲市場への移転の延期を発表した。

 「東京大改革」を掲げて当選した小池知事が焦点を当てているのが、豊洲市場の移転問題と東京五輪の巨額な施設と運営費用である。外部の有識者を入れた特別チームを編成して問題の解明に当たろうとしている。

 ここで小池知事が見失ってはならない視点は、個別の問題を掘り下げることも重要であるが、都の財政が再開発に大きく頼っている構造である。神戸湾内に人工島のポートアイランドなどを建設した「株式会社神戸市」にならっていうならば、「株式会社東京」は再開発至上主義に陥っている。都市整備局によれば、都内の再開発地区は7月末時点で219地区。都の税収を税目別の構成比率でみると、法人事業税・法人住民税と個人都民税は、経済の動向を反映して伸縮が著しい。

 これに対して、再開発にともなって増える固定資産税・都市計画税は3割前後で安定している。2015年度において都税収入の総額5兆216億円のうち、固定資産税が1兆1254億円、都市計画税が約2174億円に上る。

 都が主導する再開発計画によって、インフラの整備を進めれば地域の地価が高騰して固定資産税・都市計画税が安定的に入る。開発業者にとっては道路や地下鉄の延伸は大きなメリットである。再開発の認可には都議会が力を持つ。都の官僚たちにとっては人件費の確保につながり,天下り先が生まれる可能性もある。

 新国立競技場の建設にともなって、都は周囲の再開発予定地区の容積率を増大させた。豊洲市場向かう環状2号線は、そもそも関東大震災後の帝都復興計画にさかのぼる。新橋から神田佐久間町までの約9.2キロだったのが、1993年に起点が江東区有明に延伸された。

 再開発至上主義の構造から脱却する政策は、「成熟都市」や「安心・安全」といった美辞麗句が並んだ都の「東京都長期ビジョン」ではなく、都市計画の大きな目標を掲げた見取り図が必要である。さらに、海外で成功した都市計画について、北海道大学の越沢明名誉教授は「インフラ整備の負担を一定のルールにしたがって受益者(地権者)に課すことが多い」と述べている。

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