政治経済情報誌「エルネオス」が9月号をもって、休刊した。筆者が広報パーソンのために連載していた「ほまれもなく そしりもなく」は、99回で終了した。「白寿」ということになろうか。
「エルネオス」は26年間にわたって、計310号を出した。編集長の市村直幸さんとは創刊の初期から匿名の執筆者として加えていただいた。
政治経済情報誌としては、「選択」や「テーミス」、「ファクタ」などに比べて、格段に「中庸」と「進取」の気概があったと思う。それは、筆者に自由に書かせるという編集長の市村さんの編集方針が大きい。
筆者の書いた記事としては、企業年金がいまほど問題にならなかった当時、提案を受け入れてくださった。市村さんから「(企業年金問題は)うちが一番早かった」といっていただいたときはうれしかった。
最近では、フィンランドの「ベーシックインカム」が、欧米各国でも採用の動きがあることを報じた記事が思い出に残る。新型コロナウイルスの感染がパンデミックになったのにともなって、各国の現金給付は「ベーシックインカム」そのものであり、今後もこの制度は継続していくべきではないか、という論調が欧米のメディアで報じられてきた。
自慢話は鼻につく。ひとえに、編集長の市村さんに感謝してあまりある。新聞記者から広報パーソンに転じて、その後独立したことを市村さんにお知らせすると、すぐに連載を依頼された。政府や企業の危機管理を考えると同時に、関連する新刊書を渉猟する日々はとても楽しく、また勉強になった。
連載期間が8年余りにもなった「ほまれもなく そしりもなく」は、いまは未確定で詳細を記すことができないが、筆者のこれからの人生の岐路を決めるきっかになりそうである。
「エルネオス」の連載陣として、宮崎正弘先生や佐藤優先生、元木昌彦先生、金田一秀穂先生らと名前を並べた、ライターとしての幸せを与えてくださった、編集長の市村直幸さんに改めて御礼を申し上げます。
休刊に伴うエルネオス出版社の精算が終わり次第、仲間で市村さんを慰労しようという声が澎湃と上がっている。