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コラム

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日本最大の売り場面積を誇る複合書店の所在地は、東京でも大阪でもない。それは東北の中核都市である仙台にある。

「蔦屋書店 仙台泉店」である。今春オープンした店舗は、もともとショッピングモールとなる予定だったビルに入居した。売り場面積は1万平方㍍近くもある。

 カルチャー・コンビニエンス・クラブ(CCC)が運営する蔦屋書店チェーンは、2011年春に東京・渋谷に近い代官山店をオープンして、5000平方㍍クラスの大規模店を出店する戦略を進めている。

 この戦略のシンボルとなっている代官山に続いて、前橋みなみモール店、フィオレ菖蒲店(埼玉県久喜市)、ひたちなか店、新潟万代店と出店を加速して、これらの店の規模を大きく上回る仙台泉店に至った。1983年の1号店から30周年である。

 CCC傘下で書籍と雑誌を販売している、蔦屋書店とTUTAYAの年間売上高はすでに、2012年に1097億円に達し、紀伊國屋抜いて国内最大の書籍・雑誌小売業である。

 世界最大のネット書店であるアマゾンが、日本の市場を席巻するなかで、リアルの書籍流通の領域で、CCCは果敢な戦略をとってきた。

 日本最大の書店である仙台泉店と、旗艦店である代官山を重ねあわせるとき、電子書籍時代の「紙」と「電子」の読書のありかたの未来図が見えてくる。

 出版界はすでに、「紙か電子か」の論争に終止符を打って、「紙も電子も」の路線に突き進んでいる。

 ここでは、読書人が集う書店の地点から、電子書籍時代の書籍流通を考えてみたい。ありきたりの言葉であるが、生産者の視点ではなく消費者の視点である。読書は人生の喜びであり、それは人々の生き方と暮らし方に大きくかかわっている。

■トヨタの進出で地域が変貌

 仙台泉店がある場所は、仙台市の中心街ではない。北方に広がるベッドタウンの一角にある。高度経済成長時代に三菱地所が計画した高級住宅街のパークタウンが近い。地元の開発業者も加わった、かつての新興住宅街に囲まれるように店舗はある。

 仙台市の市境を越えて北に向かうと、トヨタ自動車が名古屋と九州に次いで、国内3番目の生産基地とする工業地帯が広がっている。

 経済成長の鈍化によって、開発がいったんは停滞しかつ、都市のスプロール化によって高齢化が進んでいたこの地域が、トヨタの進出によって変貌を遂げている。大型のショッピングモールが次々に進出し、シネコンもある。かつては、仙台市にいずれ合併されて飲み込まれると思われていた隣接の町が、人口の増加によって市制施行もつぶやかれるようになった。

 仙台市の中心街から独立した都市圏のなかに、仙台泉店は「紙」の需要を掘り起こしている。書籍は、人文書や専門書、趣味の本など、80万冊に及ぶ。児童書と絵本は3万冊、玩具もある。CDは1万枚、DVDは単館で公開されたマイナーな作品までとりそろえている。カフェや本を読む座席も300席ある。

 営業時間は平日が朝9時から夜の23時まで。土日と祝日は朝8時から開店する。

 店舗が市場としてにらむ、周辺の車中心の交通網を利用する暮らしぶりに合わせて、駐車場は600台以上を用意している。

 代官山店もまた、立地している地域の人々の暮らし方に合わせた運営がなされている。仙台泉店が車で立ち寄るしゃれたロードサイド店であるとすると、代官山店は歩いて行く店である。渋谷を起点とする東急東横線の最寄り駅からばかりではなく、周囲の山の手の住宅街から起伏に富んだ風景をみながら店までたどり着くのは、ちょっとした散歩になる。

 代官山地区は、日本を代表する建築家である槙文彦さんらが中心になって、地元の住民と協議を重ねながら、樹木や路地を生かして、ゆっくりとした時間軸のなかで再開発が進んでいる。地域の価値について、過去の歴史的な文脈を忘れないという理念がある。大樹1本を切り倒すことは、地域の価値を引き下げるのではないか、という疑問をいつも持ちながら住民の議論がなされている。

 代官山店は、敷地面積1万1000平方㍍の土地に、2階建ての3棟が回廊でつながっている。それぞれが書籍、雑誌、美術書、DVD、CDなど、豊富な点数ばかりではなく、特徴をもった店舗である。

「紙」の売り上げの減少に苦闘する出版界は、その要因のひとつとして、書店の閉店が急速に進んでいることをあげる。もちろん、出版社は書店と協力して、「紙」の売り上げを伸ばす戦略をとっている。ブックフェアやキャンペーンである。

■暮らしの変化に書店が対応

 蔦屋書店のふたつの大型店から見えてくるのは、列島の都市と人々の暮らし方の変化の潮流をいかに読むかが重要ではないか、と考える。

 書店調査会社のアルメディアによる、2013年上半期の書店の状況は、閉店数が380店に及んでいる。新規店は91店である。

 街角の書店が消えていくのは読書人にとって残念なことである。しかしながら、調査統計のなかから、うっすらと読み取れるのは、都市と人々の暮らしに懸命に書店が対応していこうという姿である。

 2000年代に入って、新規店舗数が11年まで100店舗を超えている。02年が最多で246店。書店の増床面積の合計は、07年の4万1000坪をピークとしながらも、その後も2万から3万坪で推移している。

 書店は人々が「紙」を忘れ、捨てようとはしていないことを知っている。

 Daily Diamondは、週刊ダイヤモンドの購読者向けのサイトです。

http://dw.diamond.ne.jp/

 

 

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 子会社のオリエントコーポレーションが反社会的勢力に融資していた問題をめぐって、みずほ銀行の責任が問われている事件は、本稿を執筆している一一月中旬時点でも収束の気配がみえない。

 みずほ銀行の一連の事件については論じ尽くされたかにみえる。しかしながら、このシリーズで取り上げてきた「ビッグデータ」の視点と、ほまれもなくそしりもなく、レピュテーション・リスクの回避に取り組んでいる広報パーソンの視点からみるとき、企業の教訓となる新たな論点が浮かび上がってくる。

 今回の事件について、みずほ銀行の第三者委員会の弁護士たちがまとめた「提携ローン業務適正化に関する特別調査報告書」から、企業の普遍的な課題を読み取ることができる。一〇月末に対外的に公表され、みずほ銀行のホームページからダウンロードが可能である。

 この事件に関する報道と識者による原因の分析を振り返るとき、みずほ銀行が旧日本興業銀行と富士銀行、第一勧業銀行の三行の一体化が遅れていた事実が指摘される。

 企業が直面するリスク管理に関して、その企業の特殊性や、経営層の人的な素質や経験のなさに言及することからは、その企業の再生は困難である。

 みずほ銀行の第三者委員会の一〇〇頁を超える、膨大な調査報告書を

読んで、まず不信に思ったのは、委員会の弁護士たちの事情聴取の対象者に広報部門と法務部門の責任者が含まれていないことである。

 みずほ銀行の組織図をみると、法務部門はリスク管理部門のなかにあり、この部門の責任者に対する聴取が行なわれている点は、差し引いて考える必要があるだろう。

 しかしながら、広報部門に関する聴取がないのはなぜか。

 そもそも、みずほ銀行の組織図によると、プロフィット部門とそれ以外を分けて、広報と法務は「それ以外」である。経営学者のドラッカーを持ち出すまでもなく、プロフィット部門とノン・プロフィットを分かる考えは、企業の社会的責任を果たす観点からは、すでに過去のものある。

企業の組織はすべて、価値を創造する。

 みずほ銀行の組織の立て直しを提言している第三者委員会には、企業のレピュテーション・リスクを回避する重要なファクターである、広報の役割を認識していない。法律を順守するばかりではなく、社会の常識を背にして企業に迫るメディアに対する、企業の構えについて理解していない。

 さらに、報告書は今回の事件の根幹である、反社会的勢力に関するデータと融資対象者の突合せの問題についても、分析が十分ではない。みずほ銀行にあったデータベースの量的かつ質的な分析がなされていない。「ビッグデータ時代」のありようから学んでいない。

 それは、この調査が金融庁の検査という法律に基づいた行政行為を受けたものであり、なおかつ刑事事件に発展する可能性があり、弁護士は法律的な立場から、問題にアプローチしているからである。

 

エルネオス(ELNEOS)は、定期購読雑誌です。

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 電子版は

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    (この項了)

 

 

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 NHK連続テレビ小説「あまちゃん」が最終回を迎えてから2カ月近くが経とうとしているのに、その喪失感から立ち直れない「あまロス」症候群はひどいものだ。

 総集編の前後編の録画はなんども観た。連続テレビ小説としては初めて出版される、宮藤官九郎の「あまちゃん 完全シナリオ集」第1部・第2部(角川マガジン刊)もアマゾンで予約して、11月末の発売を待つばかりである。

  あまちゃんこと天野アキ(能年玲奈)の友人である足立ユイを演じた、橋本愛が連続ドラマに初出演する「ハードナッツ!~数学girlの恋する事件簿」(BSプレミアム・日曜放映)は、そんな「あまロス」症候群をちょっといやしてくれるドラマである。

  「天才数学科女子大生VS爆弾テロリスト」の前後編(10月20日、27日)の特別版で始まったシリーズは、第5回「ワインと殺意の方程式」(11月17日)に至って、全8回の最終回まで残り3回を残すばかりとなった。

  名門東都大学の数学科の女子大生・難波くるみ(橋本愛)と、初音署の刑事・伴田竜彦(高良健吾)が毎回、数式や暗号が絡む難事件を解決する。数学の論理から謎を解こうとする、くるみと刑事の直観を疑わない伴田が、協力して犯人に迫る。

  「あまちゃん」のユイ役の橋本愛になじんだ観客には、くるみ役はしばらく戸惑うことだろう。海外出張にでかけた担当教授の研究室を我が物顔に使っては、黒板に事件にからんだ数式をチョークで書きなぐり、教授の数学に関する蔵書を参考に読みまくる。果ては料理を作っては、研究室のテラスのテーブルでふるまう。

 セリフは語尾が、しり上がりの調子はずれ。毎回偶然のように事件の現場で伴田と出会って、一緒に謎を解くうちに恋するようになる。数学的な手法によって、男性の心を打つ言葉をちりばめたラブレターを手渡したり、料理を作って食べさせたりするが、いつも空振りに終わる。

  恋の仕掛けの成功を予想して、顔を左に傾けて上を斜め見るうれしそうな表情は、いつも最後は裏切られて、肩を落とす。

 めまぐるしくその表情を変える、変わり者のくるみ役をこなす、橋本愛のメディアンヌぶりを観ていると、いかに演技派であるかがわかってくる。

  橋本愛はユイ役で知られる前からすでに、美少女の映画女優としてその地位を獲得している。湊かなえ原作の「告白」(中島哲也監督・2010年)では、幼い娘を殺された中学校教師・森口悠子(松たか子)の復讐の対象となる犯人の男子生徒と友人となり、最後は彼に殺される北原美月役を演じた。クラスメイトの桐谷修花役で能年玲奈が出演している。

 綾辻行人原作の「Another」(古澤健監督・2012年)では、クラスメイトに死んだ者として無視されている、見崎鳴役を演じた。この原作はこれから美少女によってなんども映像化されることだろう。「伊豆の踊子」(川端康成)や「時をかける少女」(筒井康隆)、「ねらわれた学園」(眉村卓)の系譜に連なる。

  「ハードナッツ!」の第5回は、ワイン評論家が、ワインの品質をぶどうの収穫年やその年の気象によって予測する方程式を残して殺される。くるみはその方程式がすでに海外の学者がたどりついた式を日本式にアレンジしたことを解明していく。

 地下のワインセラーに向かう階段から転落死と、警察は当初みていた。伴田は直感的に現場の様子がおかしいと感じて、くるみに写真をみせる。飛び散ったビンのガラスの破片の散らばり方が、数学的にみるとやはり疑惑があることがわかる。

  ドラマの隠し味として、くるみが料理を作る際に研究室に教授が大切に保管していた高価なワインを、価値を知らずに使ってしまったエピソードがからまる。脇役の法学部の教授に使ってしまった空き瓶を見とがめられたので、ごまかすために、殺されたワイン評論家の妻に近づき、同じワインを手に入れる。担当教授が帰国したときに、その法学部の教授と飲み交わす約束のワインだったのである。

  ワイン評論家の自宅の壁に貼られた写真から、くるみは、評論家と料理研究家の女性が不倫関係にあることをみやぶる。ふたりは理科系で、数式を書いた紙を掲げて記念撮影している。くるみは、その数式を解析すると、ハートの図形が浮かび上がることに気づいたのである。

  料理研究家の女性に復讐するために、評論家の妻はワインパーティーの会場で、彼女の夫を毒入りのカクテルを飲ませて殺す。シェーカーに入れた氷にトリックが仕掛けられていたのを解明したのは、くるみである。

  「解けました」と事件の謎を明らかにした瞬間のくるみの表情が愛くるしい。

  「ハードナッツ!」はシリーズ化を前提に制作されていることがうかがえる。くるみの相棒となる伴田の正体は謎に包まれている。高級車を乗り回し、ポーカーも玄人はだし、ワインも詳しく、料理もうまい。映画化も期待できそうだ。

  プロデューサーに東宝の蒔田光治が加わっている。脚本もてがけている。蒔田は、仲間由紀恵主演のテレビドラマ、映画の「トリック」シリーズのプロデューサーである。

 (敬称略)

WEDGE Infinity 田部康喜のTV読本

 http://wedge.ismedia.jp/category/tv

 

 

 

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「あの頃、たくさんの涙と笑いをお茶の間に届けてくれたテレビドラマへ。」

 作家の小路幸也の「東京バンドワゴン」シリーズは、最後のページの真ん中にそんな文章がゴヂック体の文字で刻まれている。1961年生まれの小路が、テレビの黄金時代に捧げる献辞である。

 日本テレビの土曜ドラマが小路の人気シリーズを映像化した。サブタイトルは「下町大家族物語」である。

  ドラマは第4回(11月2日放映)に至って、多部未華子が演じる謎の女子大生の槙野すずみの正体が明らかになった。舞台となる下町の古書店「東京バンドワゴン」に、すずみは偽名で住み込んだ。店主の堀田勘一(平泉成)の孫である青(亀梨和也)の恋人である。

 母を幼いころに失くして、父も最近亡くなった。「父と二人暮らしが長かったこともあって、大家族にあこがれてきた」と、大家族が食卓を囲んだなかで、すずみはいう。

 主人の勘一の長男で、還暦を過ぎた伝説のロックシンガーの我南人(がなと・玉置浩二)、その娘の藍(ミムラ)、息子の紺(金子ノブアキ)、そして青、藍の娘、紺の妻子。

 勘一を筆頭とする4世代同居の大家族である。

  脚本家の大森美香は、原作に描かれている青とすずみのラブストーリーをすくい上げて、ドラマを貫く流れとしている。ドラマの初回から第4回まで、ふたりの出会いとすれ違い、そして誤解を描いてきた。

魅かれ合うふたりのストーリーに、大家族とその周辺の人々のドラマが織りなされていく。映画館の暗闇のなかに浮かび上がるスクリーンで演じられる完結するドラマとは異なって、お茶の間の明るい空間のなかで観られることによって、発明された連続ドラマの王道である。

 ツアーコンダクターの青は、海外から帰宅の途中に酔って交番で事情を聴かれる。そこで大学の図書館で借りた本を失くして途方に暮れる、すずみに出会う。すずみは、日本文学を専攻する大学生である。

たまたま青がその本を拾って、翌日大学を訪れて、すずみに返す。自分が古書店の家族であることを告げて、連絡先を書いたメモを渡す。

 すずみは古書に興味があり、古書店で働くことが夢でもあった。

 名前も知らないままに、青はすずみと下町の散歩をしながらお互いに魅かれ合う。ふたりで並んで買った、たい焼き屋で、3万人目の記念の客となり、記念撮影となる。青はその写真を胸のポケットに入れるようになる。

 再会を約束して、そのたい焼屋の近くの約束の場所に、すずみは現れない。

 携帯の電話番号も名前も知らない青は、とうとう夜まで待つ。しかしながら、あきらめきれない。

 大森のシナリオは、徐々に大家族の複雑な事情を明らかにしていく。藍と紺、青は、異母姉弟であった。藍と紺は、父親の我南人の正妻の子であるが、青はそうではなく、乳児のころに我南人が家に連れてきた。青の母が誰なのか、それも第5回(11月9日)以降で明らかになっていくのだろう。

 藍もまた秘密を隠している。古書店のなかで営業しているカフェを手伝いながら、藍は印象派のようなタッチの絵を描いている。シングルマザーで、娘の花陽(尾澤ルナ)の父親を家族にも明かしていない。

 すずみの正体が明らかになる第4回は、そうした初回からのいくつかの謎が解き明かされた。

 すずみの父親は、日本文学を専攻する大学教授だった。そして、その教え子が藍であり、結ばれて生まれたのが、娘の花陽であった。

 すずみは、父の死の直前に妹がいることを告げられる。藍は憎しみの対象であった。「東京バンドワゴン」の古書店に住み込むようになったのは、父が母に贈った研究書を探すことであった。その本は父の出世作であり、母に捧げる言葉が自筆で書かれていた。

 古書を保存している蔵が荒らされる。藍が描いていた絵が、切り裂かれる。

 すずみが夜に部屋のなかで、すすり泣くのをふすま越しに青が聞く。

 ドラマの謎解きは、店を手伝っている紺が中心となっているが、ときに父親の我南人が、そして青が加わる。

 すずみが通う大学と偽名に似た人物をたどって、家族たちは、すずみが何者であるか、そして家のなかで起きた小さな事件の犯人がすずみであることを突き止める。

 大家族が集う居間で、すずみを囲んで、ドラマはこの回の結末に向かう。

 「すいませんでした」と頭を下げるすずみに、藍が本を差し出す。「わたしが先生のところから盗んだんです。ごめんなさい」と。

 涙を流しながら、古書店を去ったすずみを青が追いかけて、連れ戻して、家族にあらためて紹介する。

 「僕の恋人の槙野すずみさんです。これからもよろしく」

 我南人がいう。

 「Loveだねぇ」

 この言葉は、ドラマの毎回の締めとなる決め台詞である。

 そして、その玉置が歌うエンディングとなる。

 「東京バンドワゴン」が描く大家族は、過去形ではなく、現在である。テレビは「今」を描くメディアであり、そうであってこそ、人々の心を打つ。東日本大震災後、家族のありかたと周囲とのつながりについて、人々はあらためて考えている。  (敬称略)

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 誉れもなく

訾(そしり)もなく 荘子『山木篇』

(誉れにも、謗りにも気にかけず、 臨機応変にしてとらわれない)

 企業や組織の危機管理の正面に立つ広報パーソンは、そのような気構えで臨んでいる。

 レピュテーション・リスクを回避しながら、同時に彼らが考えているのは、その防止策である。

 リスク管理の専門家と称する人々が、企業事件についてコメントする言葉は、事件の結果をみていう「後(あと)知恵」に過ぎないことが多い。

情報開示や謝罪会見の時期の遅れや、そのやり方について批判する。それらの指摘は往々にして、経営者や広報パーソンを標的にした批判である。

そうした指摘に対しても、ほまれもなく、そしりもなく広報パーソンは誠実に対応しなければならない。

レピュテーション・リスクを再び起こさない社内組織や態勢とはどのようなものか。

それを提案してこそ、広報部門は役割を果たす。それは企業や組織外の人々に知られることはない。

新聞やテレビ、雑誌でコメントする、リスク管理の「専門家」たちは浅薄である。

 「ビッグデータ時代」は、レピュテーション・リスクの再発防止いや、予防すらできる武器を、広報パーソンに与えてくれそうだ。

 このシリーズで基本文献として推奨している、『ビッグデータの正体』(講談社刊)から参考となる例を引こう。

 欧州の大手自動車メーカーのビッグデータの分析である。

 自動車にはマイコンチップやセンサーなどのソフトウェアが多数、搭載されていてメーカーに走行距離などのデータが送られてくる。

 このメーカーはそうした複数のデータを組み合わせて分析した結果、燃料タンクのセンサーに不具合が多いことを発見する。

 この問題の部品を製造した企業に賠償を求めただけではない。部品のソフトウェアの改良ついて、特許まで取ったのである。

 JR北海道の不良点検問題や、JR西日本の脱線事故は、ビッグデータの活用によって、防げる可能性がある。後者の事故は経営陣の刑事責任は無罪になったが、企業のレピュテーションは大きく損なわれた。前者の解明は十分に進んでいないが、企業責任は免れない。

 JRグループのみならず、私鉄も含めて、ビッグデータの分析が導入されれば、日本の鉄道の安全性はいっそう高まるだろう。

 ビッグデータの活用は、企業と組織の危機管理についても、大きな変革を迫る。

 日本の企業でも導入が始まった、CRО(最高危機管理責任者)とそれを支える組織の課題である。東日本大震災を持ち出すまでもなく、災害や企業がからむ事件や事故にどのように対応するのか。

 そのすべては、レピュテーション・リスクにかかわる。

         (この項続く)

エルネオス(ELNEOS)は、定期購読雑誌です。

定期購読は

http://www.elneos.co.jp/order.html

 電子版は

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