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ELNEOS 「ほまれもなく そしりもなく」 田部康喜 広報マンの攻防戦

 「志を共有するすべての人々に広く結集を呼びかける。国民の信頼に支えられ、国民とともに進む。真の意味での国民政党となることを誓い、ここに民進党の結党を宣言する」

民進党の結党大会が開かれたのは三月二七日。結党宣言の冒頭では、「自由」「共生」「未来への責任」を党の旗として掲げる。

 本稿執筆時点の四月中旬、郊外の空き地を囲む塀に貼られた、岡田克也氏がほほえむポスターは「民主党」のままである。

 党のロゴマークが四月一四日締め切りで公募されている。これが決定されてから今夏の参議院議員選挙向けに新たなポスターが作られるのだろう。

 しかし、いまにも吹き飛ばされそうな古いポスターは、新党のイメージを損ないかねない。

 このシリーズでは、東京工業大学マネジメントセンター准教授の西田亮介氏の著作「メディアと自民党」をてがかりとして、政党の広報戦略について考えてきた。

 小泉純一郎内閣が二〇〇五年9九月に仕掛けた「郵政選挙」をはじめとして、自民党が広告代理店やPR会社などのノウハウを取り込んで、いまや独自の広報戦略を練り上げるまでに成長してきたことはすでに振り返った。

 これに対して、旧民主党は「郵政選挙」に先立つ二〇〇三年一一月の衆院選において、代理店とPR会社と協力体制を作った。それも、「郵政選挙」の敗北によって、PR会社に責任を取らせる形で契約を解除して、旧民主党は本格的に、独自の広報戦略を練り上げる機会を失った。

 民進党はこうした過去の歴史に学んで、自民党の広報戦略に逆襲することができるだろうか。

 企業や団体など組織の広報パーソンが戦略を練り上げるためには、トップの理解が欠かせない。それは組織のどの部門でも同じことである。

 旧民主党に外部の広報戦略の人材を導入した当時の代表は、民進党の初代代表となった岡田克也氏である。自民党が広報の戦略性に軸足を移したのは、小泉純一郎首相である。安倍晋三首相も小泉時代から、広報の戦略立案にかかわっていた。

 岡田代表はどうか。「民主党政権とは何だったのか」(岩波書店、二〇一四年)のなかで、外務相時代に直面した、東アジア共同体構想について次のように次のように語っている。鳩山由紀夫首相が唱えたこの構想に対して、米国が神経質な対応をしてきたときのことである。

 「外相時代に海外のメディアのインタビューを四〇回やっているのですね。(共同体構想から米国を)排除するものではないと言うと、彼らはほっとするのです」

 岡田代表がメディアとのリレーションに寛容であることがうかがえる。

 民進党のこれからの広報戦略の課題は、いったい何を広報によって、伝えていくのかという点である。前掲の「民主党政権とは」のなかで、編者の政治学者山口二郎氏は旧民主党が政権を失った要因として、「綱領とマニュフェストをつなぐ議論が民主党にはない」と指摘している。民進党は参院選挙までにそれを成し成し遂げられるだろうか。 

          (この項了)

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ELNEOS 3月号  「ほまれもなく そしりもなく」 田部康喜 広報マンの攻防戦

 自由民主党は人材の発掘を目的として、所属議員の事務所で研修するインターンシップに地方の学生も参加できるように、受け入れ人員を現在の三〇人から一〇〇人に増やすとともに、地方の事務所でも受け入れる。

さらに、現在四〇都道府県で開いている政治塾を空白だった福岡や静岡でも開校して、全国に広げる。

 いずれも、日本経済新聞の二月一二日付朝刊のベタ記事である。

 メディアの政治部は政局を追うことを取材の第一義としている。政党の在り方や方向性は、こうしたベタ記事のなかに現れる。

 自民党は明らかに「近代化」を図っている。各選挙区の候補者が、その選挙区の党員による投票と幹部による面接によって決まるようになれば、英国型の選挙活動に近づく。

 このシリーズは、工業大学マネジメントセンターの准教授である、西田亮介氏の最新刊「メディアと自民党」(角川新書)を補助線として、自民党の広報戦略の高度化と、それに対していまだに対応しきれていないメディアの問題について考えてきた。

広報戦略の高度化は必然的に、政党自体の在り方を変えていく。冒頭に紹介した、自民党の人材開拓の幅の拡大は決して、そうした広報戦略と無関係ではない。

 「政治がメディアとの関係性に戦略性を持ちこみ始める」時期について、西田氏は二〇〇〇年代初頭である、と指摘している。

 自民党も民主党もともに、企業のマーケティングやPR、PA(パブリックアフェアーズ、公共的課題に関する広報)の技法を取り入れていく、としている。「この過程において、政党に加えて、『プロ』の存在感が増していった。電通をはじめとする広告代理店やPR会社である」と。

 いくつかのPR会社や選挙の「プロ」たちの名前が登場する。 ここでは、西田氏がインタビューをしたにも関わらず、推敲の過程で削除したであろうと推測する、エピソードを関係者の話を総合して紹介したい。

 民主党が衆院選において一七七議席を獲得して、その後の政権交代に道筋をつけた。広報戦略を担ったのは、広告代理店の博報堂と、PR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン代表の田中慎一氏である。

 田中氏は、ホンダの広報マンからセガを経て、外資系PR会社の日本代表となった。日米自動車交渉において、米国政府の凄まじい広報戦略を経験するとともに、米国の大統領選挙における広報戦略を学んだ。

 政策面では「マニュフェスト」選挙をはじめて掲げて戦わせ、イメージ選挙の面では当時の岡田克也代表の服装や話し方を指導もした。

 そもそも代表の周辺では、PR会社を選挙戦略の策定に加わらせることに強硬な反対を唱える者があったという。

 小泉純一郎首相による「郵政解散」の惨敗をきっかとして、田中氏らは関係を切られる。民主党は広報戦略の重要性を内部に確立することができなかった。

田中氏らに拒絶反応を示した幹部がその後、広報戦略の重要性を知るとともにロビイスト的な仕事に就いたのは余話である。

         (この項続く)

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米国の一極支配が崩れた先に見える未来

テレビの解説能力はますます高まる

 WEDGE Infinity 田部康喜のTV読本 寄稿    http://wedge.ismedia.jp/category/tv

NHKスペシャル「シリーズ 激動の世界」は、米国の一極支配が崩れた先に見える未来を描いている。第1回「テロと難民~EU共同体の分断~」(1月10日)、第2回「大国復活の野望~プーチンの賭け~」(1月11日)の放映を経て、第3回「揺れる“超大国”アメリカはどこへ」(1月16日放送予定)に至る。

  大越健介キャスターをメインに据えて、各国の国際政治学者に対するインタビューと最新と過去の映像を組み合わせた、ドキュメンタリーは優れた解説番組である。「テレビは速報に、新聞は解説に優れたメディアである」という評価はすでに過去のものとなったばかりか、テレビはその解説能力を日々高めている。

 新聞の部数が減少傾向をたどっている大きな理由として、インターネットの普及があげられるが、テレビの報道能力の向上もまたとりあげられなければならない。朝刊を手にとって既視感がある理由でもある。

 「激動の世界」は、まず第1回の冒頭において、世界のトップの象徴的な言葉をフラッシュのように折り込んでいる。

 「我々は世界の警察官ではない」(オバマ・米大統領)

 「新しい秩序か、あるいはルールなき世界か」(プーチン・ロシア大統領)

 「我々は歴史的な試練に立っている」(メルケル・独首相)

 国境をなくして、自由な往来によって、豊かな社会を築いていこうという、欧州の理念が揺らいでいる。パリの同時多発テロによって、難民の受け入れに積極的な国は、ドイツのみといってよい状況になった。

 ハンガリーはドイツとの国境に、高さ4メートル、延長175キロのフェンスを築きつつある。

 ドイツに入っている難民は1日約1万人、昨年は100万人を超えたと推定される。第2次世界大戦後、最も多い難民を受け入れている。

  旧東ドイツのドレスデンのルポルタージュでは、極右勢力とされる「ペギーダ」に肉薄する。これまでは、低賃金や失業した人々の支持が中心だったのが、中間層にもその支持が広がっている。支持者は2万5000人、インターネットで賛意を表明している人は20万人とされる。

  代表のルッツ・バッハマンが一昨年に設立した。彼は広告代理店を経営するビジネスマンである。

  難民の受け入れに融和的なメルケル首相の退陣を訴える。

  ドイツにおいて、いまや過去の移民と難民を加えると計1600万になり、全体の2割を占めるまでになっている。

  代表のバッハーマンは、大越のインタビューに答えて、EUの状況を次のように表現する。

  「EUはスープに例えられる。加盟国のアイデンティティ(自己同一性)を失ったごった煮状態である。おなかはいっぱいになるが、誰にとってもおいしいものではない」

  「ペギータ」の支持者が、近所のホテルが難民を受け入れる施設となることに反対しようと、公園で親子連れに支持を訴える。

  妻と子を連れた男性は、大声をあげて反論する。

  「難民は被害者であり、受け入れるべきだ。そんな考えならペギータにいってしまえ!」

  EUの寛容性は失われている。ドイツ国民は分断されている。

  地政学者のドミニク・モイジは次のようにいう。

  「メルケルは正しい。しかしリスクを負った。今後、難民をコントロールしながら受け入れていかなければならないだろう。テロと難民を意図的に結びつけるのは、ポピュリストだ」

  政治学者のクラウス・レゲヴィーはいう。

  「欧州は裂け目が生じている。自分の国のなかにこもろうとしている。EUの統合は危機を迎えている」

  第2回は、前回のEUの分断の危機に乗じる形で、ロシアが大国を目指している様が描かれている。

  ドキュメンタリーは、プーチンに近い実業家であるコンスタンチン・マロフェーエフに迫る。彼は不動産や株式などで富を築いたビジネスマンである。

  ロシアによるクリミアの実行支配の作戦において、マロフェーエフが資金などの援助をしていた事実が指摘される。大越のインタビューに対して、彼は「あくまでも人道支援だ」といって譲らない。

  しかし、ウクライナ政府が公開した、クリミア作戦を行ったふたりの軍人と彼の電話内容から、クリミア占領にあたって、多数の死傷者をだしたという報告に対して、彼は「祝日にすべきだな」と語っているのである。

  欧州の分断の動きをプーチン政権は、EUとNATOに対抗する手段として利用しようとしている。

  かつて内戦によって20万人が犠牲となった、ボスニア・ヘルツェゴビナ政府は、EUとNATOに加盟する方向性を表明しているが、プーチンはそのセルビア人の自治地域に標準を絞っている。セルビア地区の指導者は「独立を問う投票を」とあおっている。ロシアも経済支援をしている。

  プーチンに近いマロフェーエフと、フランスの極右政党の国民連合の幹部と会談する場面を、カメラは追っている。国民連合に対して、マロフェーエフはおととし11億円の支援をしたといわれている。

  国民連合の幹部は、米国一極支配に対抗するために「ロシアをもっと見習うべきだ」と言い切る。

 今回のNHKスペシャルは、時空を超えて、映像を織りなすテレビのドキュメンタリーの秀作である。

 

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内田有紀と池脇千鶴の「心理劇」は背筋が凍る

イヤミスには終わらないのか

WEDGE Infinity 田部康喜のTV読本 寄稿    http://wedge.ismedia.jp/category/tv

 NHK BSプレミアム「はぶらし 女ともだち」(毎週火曜夜11時15分)は全8話中の5話が、7日に一挙再放送された。高校時代の同級生だった、真壁鈴音(内田有紀)と古澤水絵(池脇千鶴)が繰り広げる「心理劇」は、回を追うごとに視聴者を増やし、初回からの展開を観たいのだろう。

 第1話「予感」から欠かさず観ている私もドラマの展開が待ちきれない。そればかりか、初回から背筋に震えが走る。

 シナリオライターとして成功を収めている鈴音(内田有紀)の自宅のマンションに、雨のふる深夜、水絵(池脇千鶴)が6歳の息子の耕太(手塚勇輝)を連れてやってくる。「夫と離婚して働いていたが、リストラされて、再就職口を探す2日間だけ泊めて欲しい」というのである。

 鈴音にとって、水絵は高校の合唱部で一緒だったという以外は、さして親しい仲ではなかった。それが20年ぶりに訪ねてきたのだ。深夜でもあり、断りづらかった鈴音は、水絵親子をマンションに入れる。

 「はぶらしがなくて、あったら私と耕太の分を貸してくれない。明日にはコンビニで買って返すから」と、水絵はいう。

 鈴音は買い置きの、はぶらし2本差し出す。

 翌朝、水絵は借りた、はぶらしを水絵に差し出す。

 「どうもありがとう。これ返すから」と。

 新品を返すならわかるが、使ったものを平然と返す水絵に、鈴音はちょっと表情を固くする。

 「はぶらし 女ともだち」の原作は、近藤史恵である。脚本は横田理恵と森山あけみ、鹿目けい子の3人が回ごとに担当している。

 ドラマは、原作にはない鈴音の不倫相手である、プロデューサーの柳井護(尾身としのり)らを加えて、水絵のよって鈴音の日常が崩れていく様子がより浮かび上がる。

 水絵がやってきた2日目の朝、鈴音が起きると時刻はすでに午後3時半を回っている。頭が重いのは、前夜に水絵とふたりでワインを飲んだなごりかと思う。

 水絵親子はマンションにはいない。ふたりは橋の欄干のそばにすわって、コンビニで買ってきたと思われるサンドイッチを食べている。

 マンションに戻ってきた水絵は、再就職活動がダメだったことを鈴音に告げて、1週間だけおいてもらえないか、と頼むのだった。鈴音は押し切られる。

 その後、鈴音がたまたま水絵のバックにつまずいて、中身が散乱したときに、睡眠薬がはいった袋をみつける。

 「水絵がワインに睡眠薬を入れたのではないか」と、鈴音のなかに疑惑が広がっていく。

 そして、耕太が深夜に突然発熱する。鈴音は水絵とともに、耕太をタクシーで病院に連れていったばかりか、保険証のないふたりのために治療費も負担する。

 マンションに帰ってからは、水絵の再就職活動のために耕太の世話をする。

 ところが、水絵が耕太のために用意したうどんの替わりに、いっしょにカップ麺を食べた結果、耕太の体調が悪化する。

 帰ってきた水絵は、鈴音を責め立てる。水絵の髪が明らかに美容院にいってきたことがわかると、鈴音は水絵に反発する。

 「就職活動をしていたと思ったら美容院?」

 「鈴音は2週間おきにカットにいっているからわからない。私はね、4カ月もいってなかったのよ。就職するには身だしなみも大事なのよ」

 耕太の体調が悪化したこともあって、鈴音は水絵の再就職がきまるまでマンションにいることを許すのだった。

 鈴音の日常に水絵が徐々に入り込んで、鈴音の生活は崩されていく。ドラマのシナリオに危うく穴をあけそうになった。さらに、スランプに陥る。

 不倫相手のプロデューサーの柳井(尾身としのり)は、鈴音をカバーするために別の女性脚本家を入れる選択をする。

 柳井は水絵を呼び出して、当座の生活資金だとして、カネを差し出して鈴音のマンションから出ていくように頼む。水絵のために鈴音のテンポが狂って、創作活動に支障がでているというのである。

 水絵は激高して、カネを地面にたたきつける。

 「調子を狂わしているのはあなたのほうでしょ。不倫をして。女の37歳って、どういう時期かわかる?」

 水絵役の池脇千鶴は、年齢を重ねるごとに女優として脱皮を遂げている。不動産会社の美少女のCMで知られるようになり、NHK朝の連続テレビ小説「ほんまもん」(2001年)の主役も演じた。

 そして、日本アカデミー賞優秀女優賞を獲得した「そこのみにて光輝く」(2014年)の大城千夏役である。主役の佐藤達夫役の綾野剛とともに、海辺の街で心理劇を繰り広げる。池脇は貧しい家庭のためにからだを売り、病気で寝込んでいる父に対するすさまじい介護の様子を淡々と演じている。

 読後に嫌な感じが残るミステリーを「イヤミス」と呼ぶ。原作の「はぶらし」のラストシーンは、そうとばかりはいえない。ドラマの展開はイヤミスであるが、果たしてどうか。

 松本清張はかつて、森繁久弥との対談において、代表作の「砂の器」の映画(野村芳太郎監督・1974年)が小説を超えた映像であることを高く評価している。

 小説とそれをもとにした映像作品は、まったく別の表現形式を持ちながら、同じテーマを読み者と観る者に伝える。

 

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“創業者”の決断は将来を決める

フジサンケイビジネスアイ 高論卓説 寄稿。

 「3年間のご愛顧ありがとうございました」。閉店を知らせる画用紙大の小さなポスターの文字は、コーポレートカラーの赤である。マクドナルドの店舗のなかで日本最大だった、原宿表参道店が1月15日に営業を終了した。

 JR原宿駅から青山通りに抜ける表参道に面した、ビルの2、3階部分にその店はあった。東京を代表する街から、「マック」が消えることは業績の低迷の象徴的な出来事といえるだろう。日本マクドナルドホールディングスの株式について、米国の本社が持ち株の一部を売却する意向であることが報じられたのは、昨年末のことである。

 東京都世田谷区にある駒沢大学の入り口と並ぶようにして、スターバックスの駒沢1丁目店が開店したのはクリスマス・イブ。ログハウスのような店は、店内に入っても木材の壁や木造りのテーブルなど、オフィス街の「スタバ」とは趣を異にする。コーヒーだけではなく、ワインとビールが飲める。

 街がしゃれているという感覚は、「スタバ」とユニクロ、そして無印良品の店舗があるかどうかだといわれる。

 スターバックスの創業者である、ハワード・シュルツ氏は「発足時の決断が事業の推進だけではなく、企業の将来にいかに重要な影響を及ぼすか、わからない」(「スターバックス成功物語」)と述べている。

 ニューヨークの大企業の幹部だったシュルツ氏が、たまたま訪れたシアトルの街で「スタバ」の前身である、コーヒー豆の販売と主とするコーヒーショップの味の虜(とりこ)になった。それまでの成功を投げ打って、その会社に入社し、独立してさらには元の会社を買収して基盤を作った。街の人々が憩う店づくりを目指した。

 「ハンバーガーですか?私は食べませんよ。人間は子どもの頃においしいと感じたものを大人になっても食べるものです」。日本マクドナルドの創業者である、藤田田氏にインタビューした際に印象に残った言葉である。「子どもたちに食べてもらえれば、大人になっても食べるようになります。いずれ日本人は米国人のように背丈が大きく、金髪になりますよ」と、お得意のジョークである。

 「ユダヤの商法」は藤田氏が、日本第1号店を銀座三越に開店して大ブームを起こした、1971年に書かれた。著作は、95の原則を掲げたうえで、「女と口を狙え」と説く。アクセサリーとハンドバックの輸入商として「第1のユダヤの商法」を成功させた、藤田氏は、ハンバーガーを「第2のユダヤ商法」の応用と位置付けた。

 「スタバ」の地域に溶け込む店づくりは、シアトルから駒沢に続いている。「マック」は、デフレ経済のなかで低価格路線によって、サラリーパーソン層をとらえた。その後の経営不振は異物混入事件のせいばかりではないだろう。東京の下町の「マック」に入った。小さな袋をプレートに載せられた。開封すると、そこにはスーパーマリオの小さな人形が。藤田氏の決断の大きな要因である、子どもを思い出したようだ。

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